web漫画「うらみちお兄さん」について語ります! ~発想の勝利~
疲れた大人と、子ども! 体操のおにいさん!? 発想の勝利!
というわけで、今回はweb漫画「うらみちお兄さん」について語ります。
https://comic.pixiv.net/works/3421
教育番組「ママンとトゥギャザー」の体操のお兄さん、「表田裏道(おもたうらみち)」31歳。 爽やかだけど情緒不安定な“うらみちお兄さん”が垣間見せる大人の闇に、よい子のみんなはドン引き……!?
第3回 次にくるマンガ大賞webマンガ部第門1位、WEBマンガ総選挙 インディーズ部門第1位を獲得した大人気作! 確かに、面白い。最初読んだときに爆笑してしました。単行本もすぐに買っちゃいましたしね~。
人生に疲れた大人の闇×純真な子供たち、発想の勝利!
この作品の面白さ、それは一般的にはさわやかで明るいイメージの「体操のお兄さん」が病みまくってること! 大人の闇と、純真な子供たちの対比!
人生に疲れた大人、社会で生きる辛さをメインにしたブラックギャグ漫画自体は割と色々とあるんですよ。pixiv系でも「社畜ちゃん」とかが人気だし。むしろ、定番のギャグ・ジャンルになってて新鮮さは無くなってきてるかも。
じゃあ、この作品の個性はどこなのか? それは子供との対比ですよね。まだキラキラしてて元気な子供と病んでる大人を並べることで違いが引き立つ! 純粋な言葉が心をえぐる! 昔を思い出して虚しさが倍増! 発想の勝利!
「病んでる体操のお兄さん」、これを思いついた瞬間に作者さまは大勝利したと言えます。天才のアイディアでしょう。
でも、ちょっと突っ込みを入れるなら、こんなに「人生に疲れてる」アピールできる時点で甘いですよね。漫画だから仕方ないんだけど。
ここまでじゃなくても大人なら疲れてたり、病んでたりするのはある程度当たり前。みんなそうなんですよ。でも、それを押さえ込んで何でもない顔して生活してるわけで。自分の苦しみや悲しみを周囲にまき散らさない、それが大人のマナー。
うらみちお兄さんみたいに露骨に疲れてるアピールして、それでも周りから叩かれずに受け入れられるとか割といい状況じゃね? と思わなくもない。現実にこんな人がそばにいたら「は? 疲れてんのお前だけじゃないんだけど……?」ってなりそう。
もちろん、そういう作品なんだからこれでいいんですけどね。リアリティだけを追求しても。読者に大人の闇を見せてくれないとギャグ漫画になりませんから(笑)
裏だけじゃなく、表もシュールでカオスすぎる……!
しかし、作中の子ども番組「ママンとトゥギャザー」はシュールすぎじゃないでしょうか(笑) 裏の部分が放送され過ぎてるし、そもそも表の部分すらカオス……
うらみちお兄さんは子どもの前や放送中は完璧な笑顔……なのかと思えば、けっこう大人の闇モードになってるという。
放送事故じゃないか!? ディレクターはカットかけないの!? 「ママンとトゥギャザー」……作中世界ではどんな評判なんだろう(笑) 本当に子供向け番組なのか? 大人の向けじゃね?
そもそも子どもの好みもよく分からない……第4話に出てくる歌「傘持ってないときに限って雨降るのなんで」とか題名で笑うし、歌詞としても
使いどきのない傘は♪ 一日じゅう荷物になって♪ 何をするにも地味に不自由~♪ 不快♪
とか病みすぎてる(笑) これが子ども向けの歌とは。でも、人気の様子。作中世界の子ども自体が病んでるか? う~ん。
ここら辺のカオスさがギャグ漫画としての面白さをアップさせてますよね。楽屋の中だけ、裏側だけの大人の闇じゃリアルだけどインパクトに欠ける。放送中、さらにはそもそもの表すら闇がにじみ出るのが笑えるわけで。
大人の闇と、純真な子供たちの対比! 病んでる体操のお兄さん! 表面の「ママンとトゥギャザー」自体が謎!
作者である「久世岳」さまのセンスが全体を通して光りまくってる。すごい漫画だ。
web版を読んで気に入ったら単行本もぜひどうぞ。webでは見れない6~9話も面白い話ばかり。8話コンサート回の歌、「猫が何もない空間を見てる」とかも病みすぎてて笑う。
あと細かいところだけど、9話の猫の鳴き声が「ン゛な゛むむも゛あぅぅ」なの猫を飼ってた人間としては好感度高いです(笑) ニャーニャーじゃないのがリアルっぽくていい。猫の方から話しかけ来る時は割とこんな感じだよね。