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「映画大好きポンポさん」について語ります! ~創作の輝き~

あふれる映画愛! 創作の熱意! 魅力的なキャラクターたち!

というわけで、今回は漫画「映画大好きポンポさん」シリーズについて語ります。ネタバレありの記事なのでご注意ください。

映画作品の紹介ではなく、個性豊かな製作者たちの想いと成長を描くストーリー漫画。ポンポさんは脚本・監督もこなす天才映画プロデューサー。そして助手であるジーンは目が死んでる男。人生に映画しかない社会不適応な青年は、はたして監督になれるのか?

作者さまが2017年4月にイラスト&漫画サービスの「pixiv」上で公開したweb作品が人気となって書籍化。確かに面白いですわ。1巻ごとに完結するスタイルで、2018年10月現在では全2巻。

 

創作活動している人に刺さる!

私は映画をほとんど見ず、知識も全然ありませんがものすごく楽しめました。それは映画というより「創作」がメインテーマだからだと思うんですよね。女優のサクセスストーリーよりも、脚本と監督の面白さが話の中心だし。漫画でも小説で音楽でも、何かしら創作活動をしてる人には刺さるものがあると思います。

1巻の

友達なんて1人もいなかったけど
どうでも良かった
だってまだ見た事の無い映画が世界中に溢れているんだから

現実から逃げた人間は自分の中に自分だけの世界を作る
まさに創造的精神活動!

 

ここら辺とかね~、創作者としては共感しまくりですよ。作者さまは創作をしている人間の心理を見事に言語化している。名言多数。

何というか、

創作の沼にハマってる奴はダメ人間だし、創作でしか飯を食えない人は社会不適応だ。でも、それでいいじゃないか! 創作ってそういうもんだろ!?

的な、残酷ながらも明るい肯定が感じられるんですよ。

あと、一瞬光り輝くものが見える、それを頑張って形にしようとする、とかも創作あるあるすぎる。

漫画としての上手さ

そして、テーマだけでなく「漫画」として、「作品」として驚異的に完成度が高い。

 

めちゃくちゃテンポが良い。

1巻も2巻もまったく無駄がない。話が始まって、状況が変わって、最後はハッピーエンドにまとまる、という流れが見事。

思うに作者さまが映画好きだからこそ上手いんだと思います。ちょうど1巻が60~90分ぐらいの映画になりそうな内容と情報量なんですよね。映画における構成が理解できているからこそ漫画1冊分における展開もきれいに仕上がっている。

 

・ポンポさんの特徴付け

キャラクターもみんな個性がしっかり出てて好きなんですが、特に上手いと思うのはポンポさん。

擬音が特徴的で、ポンポさんが歩くと「ポッキュ ポッキュ」と効果音が鳴る。これが好き。やっぱ漫画って擬音も重要な構成要素じゃないですか。擬音が独特な漫画が印象に残るし、擬音が独特なキャラは強く存在感がある。良いキャラ付けでしょ~。

 

・カラーページの演出

1巻2巻ともに、一度だけカラーの見開きが出てくるんですよ。これも超好き。まさにポンポさんが語る「創作の輝き」のシーン、映画として1番盛り上がるシーンがカラーになっている。

今まで白黒だったのに、ページをめくった瞬間に色彩が飛び込んでくる! これはインパクトありますし、まさに「創作の輝き!」って感じの見事な演出。

この技法は漫画だからこそだし、何なら映画を超えているとも言えるのでは。映画はずっと色付きですからね。基本的に白黒な漫画だからこそカラーが美しい。

ポンポさんの擬音と合わせて、漫画としての描き方も非常に上手いと思いますねぇ。すごい工夫されている。

嫌なキャラクターが出てこない理想郷

この漫画、みんな性格が良いんですよね。創作を愛していて、前向きで、真面目に努力して、人の成功を喜ぶ。

読んでいて心安らぎます。創作の苦労はあるけれど、人間関係の苦労は一切出てこない。創作者にとっての理想郷。

個人的に一押しキャラはコルベット監督。1番安定感あってプロ意識を持ちつつ少年の心もある、良いキャラしてますよ。

不安を上回る2巻の面白さ

ポンポさん好きの人はみんな、2巻が出るってニュースを見て不安になったんですよね。1巻がきれいにまとまってただけに「2巻……? 出ない方マシなんじゃね……?」と不安だった。

ところがぎっちょん! 2巻を読んでみると、今度も超おもしろいやんけ! 2巻の開幕が

映画の続編ってどう思う?

(中略)

一本の綺麗に完結した映画だったのに
予想外に人気が出ちゃってスポンサーや配給会社からの要請を受けて作った続編映画

ですからね(笑) 作者さまも読者の不安なんて分かってると。それでもなお、それをネタにする強さを見せつける。読み始めてすぐに不安が無くなりましたよ~。

内容的に1巻はジーン君のサクセスストーリーという雰囲気だった。能力を認められ、監督をまかされ、ニャカデミー賞を取ってしまう! 創作で夢をつかむ喜び!

比べて、2巻はジーン君のダメ人間っぷりが深く描写されている。創作の狂気って感じ。またポンポさんの描写が掘り下げられているのもすばらしい。1巻では無敵の天才すぎたポンポさんがジーン君に振り回されることで人間味が増し、最後には映画を愛する心を自覚してタイトル回収。上手いっすわ。

1巻で足りなかった部分を完ぺきに回収している印象。見事すぎる。

あと個人的2巻のベスト好きシーンは、ジーン君の脚本を読み終わった後、ミスティアさんが自分から「私にやらせて下さい」と言うところ。明らかにジーン君から提案がある流れだったのに、あえて自分から意思表明する。上手く言えないけど……ミスティアさん、いい女いい女優すぎる。

 

いや~、作者様のあふれる映画愛・創作愛がつまった物語。その上で漫画としての完成度もすごい。めっちゃ好きな作品ですわ。