「鋼の錬金術師」の面白さを語る! ~ハイレベルな完成度~
個性的な主人公! 珍しい設定! 熱くて深いストーリー!
というわけで、今回は漫画「鋼の錬金術師」を語ります。作者は 「荒川弘」氏。完結済みで『月刊少年ガンガン』で2001年8月号から2010年7月号まで連載。2017年11月時点で世界累計売上部数が7000万部を超えているらしい大人気作。
錬金術と機械鎧(オートメイル)が存在する世界。過去の失敗で体を失った錬金術師の兄弟「エドワード」と「アルフォンス」は、元に戻るための方法を探して旅をしている。とある街で伝説の物質「賢者の石」らしきものを見つけるのだが、その裏には巨大な陰謀が隠されていた!
個性的な主人公!
なんと言ってもインパクトあるのは兄弟の設定でしょう。エドは右手と左手が機械鎧! アルにいたっては肉体が残ってなくて、魂だけが大きな鎧に宿っている!
いやー、珍しい。髪型・性格・能力、主人公には色々な個性が与えられるものだけど義手・義足ってのは意外と少ない。しかもオートメイルで見た目も超かっこいい。
アルのほうは少年口調でしゃべる鎧とか冷静に見るとシュールすぎる(笑) よくこんな設定を思い付いた&会議で通ったものです。常に画面の中にいる鎧……カオス。
メイン2人の設定だけでも個性的でセンス抜群。最初の第1話の時点でめちゃくちゃインパクトあって引き込まれます。作者の 「荒川弘」さんはすげーですわ。
新鮮な設定、錬金術とホムンクルス
世界観と設定も新鮮。錬金術! 敵はホムンクルス! かっこいいオートメイルの数々!
魔法じゃなくて錬金術をもってきたのがほんとセンスありますわ……錬金術をメインにしたファンタジーって見ないですからね。一気に個性出てる。
色々と出てくる錬成陣・物が変化するときの電気っぽいエフェクト、めっちゃ良い!
そして、時代設定的には産業革命期っぽい雰囲気であり無骨なオートメイルが超かっこいい。エドとかバッカニア大尉とか、オートメイル装備のキャラはちょこちょこ出てきますがどれも良いデザイン……
メイン2人のキャラ造形、錬金術とオートメイルという魅力的な世界観。もうね、設定だけでセンス爆裂で面白いの確定なんですよ。これだけ良い設定があるならストーリーは雑でも割と面白い作品になる。
しかし! ハガレンはストーリーの完成度もやばい。めっちゃいい×めちゃいい=超面白い。
ストーリーの完成度
絡み合う人間関係と謎
ハガレンのストーリーは本当に面白いっすわ。魅力的なキャラクターがどんどん出てきて話が広がっていく。賢者の石を探している兄弟、軍のトップ目指す若手の大佐、国家錬金術師を狙う復讐鬼、謎の黒い人物たち、異国の王族……
それぞれの設定がしっかりしてるから、キャラ同士のからみが全部面白い。どんな利害関係があるのか? 相手をどう見ているのか?
そして、その中から見えてくる謎。協力によって解き明かされる真実。ヒューズ中佐の最期の言葉と軍の腐敗、リオールの暴動と国土錬成陣、ホーエンハイムとお父さま、驚きと納得感。
広げた風呂敷とちりばめた伏線を見事に回収してくる……重くて熱い展開でほんと完成度高い。第1巻から最終巻までストーリーが1本筋でつながっている。
1巻の「降りて来いよド三流 格の違いってやつを見せてやる!!」を、最終27巻の「立てよド三流 俺たちとお前との格の違いってやつを見せてやる!!!」で繰り返す演出かっこよすぎ!
私の特に好きなキャラはアームストロング少佐、アームストロング少将、グリードさん、キンブリーさん、ブラッドレイ大総統ですかね。キンブリーさんは見事な誇り高き悪役っぷりでステキ。
テンポが良い、ダラダラしてない
全27巻で長いと言えば長いけど……ダラダラした感じはまったくしないのも良い。これは最初から最後まで「お父さまの国土錬成陣計画」という1つの事件を書いているからでしょう。話も国内で完結してるし。
バトル漫画だと次々と新しい敵が出てきて、冒険の舞台もドンドン変わっていくのがありがち。これはこれで面白いんだけど作品によっては引き伸ばしてる感が出てくる。無限に続けられるスタイルだからこそ終われない。話としてもぶつ切りになりがち。
ハガレンは最後までブレずにきれいにまとめてて好印象。ちょこちょこ過去編が入るけど、必要だからこそやってるのが分かるしテンポ良く終わらせて現代パートに戻ってくる。
ちゃんと味方キャラも退場する
ここも好感度高いポイント! 個人的に、味方が1人も退場しないバトル漫画って微妙なんですよね。敵は全滅、味方はみんな無事。さすがにそれは不公平では? 敵だって敵なりに戦う理由があって頑張ってるんだから……
その点、ハガレンでは味方キャラにもちゃんと被害が出る。ヒューズ中佐が殺されるのはショックだし、葬式の描写は名シーン。ハボック少尉も死んでは無いけど半身不随で一時退場してましたし。
ラストバトルではフーじいさん、バッカニア大尉、グリードなどが退場していく。悲しいけど、だからこそ盛り上がる。すべてが終わった後には安心感と達成感。
やっぱ仲間にも死人を出したほうがバトルに緊張感が出るし、物語としても深み厚みが増す。
戦闘シーンも迫力満点
バトルものして見てもすごく楽しい。商業漫画の中でも絵が上手いしスピード感もめっちゃある。錬金術! ホムンクルス! オートメイル! 銃! 刃物! キメラ! これだけ色々と多彩でつまらないはずがない。
錬金術師たちとホムンクルスはそれぞれの特徴がはっきりしてて分かりやすいのもナイス。
戦闘シーン的に好きなキャラで言うと、まずはやっぱエド。変形オートメイルを使った高速格闘戦と錬金術を使った工夫。見てて飽きませんな~。
筋肉錬金術のアームストロング少佐も楽しい。派手!
あとはブラッドレイ大総統。すさまじい迫力の超剣術。敵だけどかっこいい~! 戦闘シーン全部好き。
悪役であるホムンクルス組は能力がはっきりしてて強い分、みんなバトル映えします。グラトニーの不気味さ、ラストの鋭さも良い感じ。
単行本のオマケが嬉しい! 好印象!
毎回、巻末にオマケ漫画とカバー下にギャグイラストがあるとか……最高でしょ!!!!! しかもキレッキレで超楽しい。作者みずから色々とネタにしまくり(笑) 本編でも感じるけどギャグセンスもはんぱねぇ。
単行本にオマケ描いてくれる作者さま、めっちゃ好感度高いです。荒川弘さん好き。
世界観、ストーリー、バトル、単行本のオマケ……完璧と言っていいのでは? 漫画としての完成度が高すぎる。すげぇ作品ですよ。